配当貴族というと
・25年以上の連続増配
・かつS&P500組み入れ銘柄で規模が大きく流動性が高い
という、そんなおいしい銘柄、そうそうないでしょう?というような条件です。
と思ったらなんと65社もあります。
その多くが1%以上の配当を維持しています。3%や4%だってざらにあります。
一体どうなってるんですかね。
1社ずつしっかり中身を見ていけば、「ベーシックインカム」の構成要素になるような安定高配当株が見つかるかもしれません。
しかし、リストを見ると知らない名前の企業がたくさんあります。。。
米国投資はもう10年以上やってますが、いかに自分が「メジャーな銘柄」「知ってる銘柄」の範囲内だけで投資してきたかを痛感します。
今回は「コンソリデーテッド・エジソン」社です。
はて、何の会社やら。。
エジソンだから電気に関係しそうな感じ。
どんな会社?
電力・ガス供給を担う子会社を持つ持ち株会社です。
子会社が、主にニューヨークの電気・ガス提供を担っており、売上の9割近くはここから発生しています。
加えて昨今熱い再エネにも積極的に投資しています。
いわゆる「公益企業」ということになります。
まだ電気がメジャーじゃなかった200年前から電力網を整備してきた老舗公益企業です。
特筆すべき特徴は「デカップリング制度」。
販売量と収益を連動させない(デカップリング)ことにより、電力の安定供給と省エネ推進を図る制度が適用されてます。
電力会社が安定的な収益を確保できるように、「投資コスト+報酬+株主還元」と「売上」のバランスをみて電力料金を上げ下げできます。
利益が出すぎれば電気単価が下がり、逆に利益が減ったら値上げができます。
この利益の計算の中には「株主還元」が含まれているので、ある意味配当が保証されているような制度が適用されています。
これはかなり異色ですね。。。
業績推移はどうでしょうか?
売上は横ばい、営業利益率はやや低下といった流れです。
普通の企業ならイマイチ感のある実績ですが、先の「デカップリング制度」のせいで(おかげで?)利益を出しすぎると次年度の単価が下がるため売上が減少します。
よって、「電気をたくさん使ってもらって売り上げを増やす」という概念は存在しません。
別次元で支えられている事業構造なんですね。
へー、おもしろい。
株価はどうでしょうか
そんな安定事業体なんですが、株価は意外とうごいてるんですね。
もともと60ドル程度で動かなかった株価が2016年から20年にかけて上昇してます。
原油安により発電コストが減少したことで収支構造が改善した模様。
んー、デカップリングとの関係がよくわかりませんね。
あまりキャピタルの動きは気にしないほうがいいんでしょうかね。
配当はどうなんでしょう?
ここがメインの会社でしょう。
直近で配当利回りは3.4%程度となっています。
連続増配は46年!先のデカップリングの話と合わせると、ここは維持されそうな感じです。
配当性向は6割から7割といったところになってます。
20年は9割近くになってますが、いずれにせよ「配当重視」のスタンスが明らかです。
フリーキャッシュフローはマイナスです。
営業キャッシュフローは毎年一定額出してますが、投資が嵩んでいるようです。
財務キャッシュフローで補っているので、配当余力は維持しています。
シミュレーションしてみました
コロナ前の2019年6月に1万ドル分購入して、2年後の2021年6月に売却したらどうなっていたんでしょうか?
原油安影響で19年の株価が高かったので、直近2年の運用成績は高い配当を考慮してもマイナスになります。
買うタイミングはちょっと判断が必要そうですね。
結論
かなり特殊な企業です。
「電気の無駄遣い」を抑止するために売価の調整が入るので、売上を大きく伸ばすことはありませんし、儲かりすぎれば「値下げ」で消費者還元が課されているので、利益が大幅に増えることもありません。
ただし、再三指摘している通り、「投資・株主還元を含めたコストが回収できる水準の単価」が設定されるので、配当は保証されているようなもんです。
3%利回りの債権みたいなもんですね。
ただし、リスクは「デカップリング制度の見直し」があるかもしれない点。
議論はあるようなので、もしこの制度が無くなったら暴落するでしょうね。。。それはこわい。
皆さんも投資される際には、ご自身でよく検討の上ご判断ください。
ではまた。
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