昨今、あらゆる分野のあらゆる企業が「サブスクリプション」という提供形態にシフトすべくもがいています。
月額料金で売上を作ることの優位性が広く認識された結果ですね。
たとえば自動車メーカーであれば、1台売れたら数百万あるいは数千万円の売上になります。
一方通信事業者の収入は数千円からせいぜい数万円です。が、毎月収入が確保されます。
自動車は買換えのタイミングで売り逃したら大きな穴が開く、いわば「一発勝負」です。
通信契約は月額なので、「薄く広く長く」売上を積み上げます。
投資と同じ「リスク分散」ができてます。
古くからこのモデルでワイドモートを築いてきた通信会社。
その中でも米国市場の巨象「ベライゾン」
安定感抜群だと思うんですが、どうでしょうか。
どんな会社?
元はAT&Tです。
AT&Tは米国の通信を一社で独占してましたが、巨大すぎたので1984年に分割されてます。
7つのベル系地域電話会社を切り離し、長距離通信だけのAT&Tが残りました。
このベル系地域電話会社の1社「ベル・アトランティック」がベライゾンの源流になってます。
モバイルは英ボーダフォンと合弁でベライゾンワイヤレスを立ち上げて参入しました。
2013年にはボーダフォン株を買い取ってベライゾンの完全子会社化してます。
米国におけるシェアは1位です。
Tモバイルが2位になっているのは、それ自身が伸びているのもありますがスプリントとの合併が成立したからですね。
米国の通信市場は3強による寡占状態となっています。
今後の柱となる5Gについてはミリ波帯で展開しており、「速いが狭い」という特性からエリア展開で競合から遅れをとっている模様。
ちょっと心配。
株価はどうなっているでしょうか?
特徴的なのはコロナでも株価がさほど下がってないです。
通信事業の強みが出たといえるでしょう。
が、、、、参考に全米(VTI)の推移と比較すると、その成長性は悲しくなりますね。。。
まぁ、確かにコロナの下落幅は小さいですけど、それ以上に伸び幅が小さい。。。
伸びはイマイチだけど下がらない、そんな銘柄ですね。
インカムメインで持つなら安心感はあります。
業績推移はどうでしょうか?
19年が売上最大となっており、20年は減収となってます。
一方利益はここ3年右肩上がりを維持しており、営業利益率は21%に達しています。
日本のキャリアは15-20%程度なので、やはり利益率の高い業界と言えます。
配当はどうなんでしょう?
連続増配は14年連続です。配当貴族の連続25年という条件は満たしてませんが、貴族への階段をまっすぐ上ってます。
配当利回りは4%を超えてますので、業績の安定感と合わせて魅力的な銘柄となります。
もちろん、無理くり配当しているわけではありません。
配当性向は57%で、投資と株主還元を両立していると見えます。
増配の余力も十分に持っているので、持っているだけでお宝銘柄化していく可能性が高いです。
ちゃんとキャッシュはまわっているんでしょうか?
配当総額102億ドルよりおおい183億ドルのフリーキャッシュフローを確保しています。
営業キャッシュフローもきれいに右肩上がりになってます。
シミュレーションしてみました
コロナ前の19年6月に1万ドル購入して、2年後の21年6月に売却したらどうなっていたんでしょうか??
株価は若干下がっているのでキャピタルでは減少しているんですが、4%の配当が効いてます。
トータルでは年+3.5%程度の利回りが確保できていたことになります。
株価自体の大きな上昇はなかなか期待できませんが、今後も通信は産業の基盤として進化していくので、緩やかに上がっていくでしょう。
その間も増配を続けていく可能性が高いので、しっかり4%程度で運用実現できる銘柄かな、と見えます。
結論
事業規模、安定性、業界の将来性、どれも「少なくとも悪化は考えにくい」という銘柄かなと。
成長率については、GAFAのような劇的な成長は期待できません。
一気に資産を育てるには向いてない銘柄です。
が、安定性と高い配当率があるので、ゆっくり着実に資産形成するにはふさわしい銘柄だと思いました。
参考にPEGレシオを見てみると20年度で「1.4」となります。
1~2が適正と言えるので、株価は適正水準にあるといえます。
いま購入して、あとは忘れて配当だけもらい続ける、その間に増配でどんどん利回りが上がっていく、なんてシナリオがいいのかなと。
いずれにせよ、守りの銘柄かなと思いました。
皆さんも投資される際には、ご自身でよく検討の上ご判断ください。
ではまた。
コメント