ロジカルに考えると、定期的に利益確定する「高配当株式」よりも「低配当」でその分成長投資に回す「成長株」のほうが資金効率が高いです。
利益を確定すると20%の税金がかかりますが、配当せず資金を成長投資に使えばそれは経費なので課税されません。
結果複利効果が最大限に生かせるので、企業の価値が高まるスピードが上がります。
つまり、「コツコツもらう」か「後でまとめてもらう」かの差なんですが、そこには「期間の利益」が発生するので、「後でまとめてもらう」ほうが総額は大きくなります。
わかっているんですが、わかってはいるんですが、、、
定期的な収入は心の安定につながります。
だから、なんだか欲しくなるんですよね、高配当株が。
国内株式を配当率で降順に並べると、大企業でトップにくるのがこの会社、日本たばこ産業(JT)さんです。
業界勢力図ってどうなってるのかな?
まずこの会社、ご存じの通りたばこだけの会社じゃありません。
食品や医薬品にも事業領域を広げています。
本業のたばこ、やっぱりイメージが良くないんですが市場としてはまだまだ巨大です。
世界全体で80兆円もの市場になります。
喫煙者自体は年々減少してますが、2000年に14億人だった喫煙者は2015年でもまだ13.5億人もいます!
日本は減っても中国やアフリカの途上国は、まだまだバカバカ吸ってるってことですねー、意外と。
この業界の巨人は5社ですが、その一角にJTは入ってます。
80兆円市場でシェア9%とってるなら7兆円程度の売上があってもいいのかな?
業績推移はどうでしょうか?
さすがに7兆円も売上はありませんが、コンスタントに2兆円程度の売上を維持しています。
気になるのは営業利益率。
利益率20%!というのは「恐ろしく」利益率の高い事業です。
稀にみる「値上げしても売れる商品」だからですね。
ニコチン中毒の気持ちはわかります。通院して禁煙した身としては痛いほどに。
高利益率ではあるものの、低下トレンドにはあります。
国内では消費の低下を値上げで補填してきました。
事業構造としては、大半を海外たばこ事業に頼っています。
国内たばこの減少を海外たばこで補って売上を維持してる。そんな構図ですね。
医薬、食品も結構目にする機会が多いんですが、実は事業の1割程度にしか育ってないので、柱のたばこ産業が生命線であることは間違いありません。
そのたばこ事業、国内は「販売減&値上げ」、一方海外は「販売微増&値下がり」というトレンドです。
結果としては売上は維持できているものの、利益は低下しているという状況です。
加えて電子タバコに乗り遅れた点も成長を阻害する要因になってます。
電子タバコといえば「アイコス」。製造元のフィリップモリスは8割のシェアを握ります。
JTは「プルームテック」を出しましたが、シェアは10%にとどまります。
結局紙巻たばこ並みのシェア、とも言えます。
配当はどうなんでしょう?
おっと、、、増配記録止まってたんですね。。。
とはいえ冒頭にも記載したとおり、配当利回りは7%近く、国内大手企業のなかでは突出した配当利回りの高さです。
配当性向は88%から73%%まで下がりました。増配やめたおかげで。
ただ、増配をやめたとはいえ株主還元重視というスタンスは、まだ変わってませんね。
前項の事業構造を見ると、なかなか成長分野への投資というのはできてないように見えます。
が、逆に言うと、当面は安定配当の構造を持っているとも言えます。
営業キャッシュフローは変わらず5,000億を超える水準で確保できてます。すごい。。。
肝心の株価は???
ずーーーっと2,000円近辺で上下してます。
売上頭打ち、利益率低下の結果がこの株価でしょう。
ただ、キャッシュフローはコンスタントに5,000億円だしてるので、いまの配当水準を維持することはできそう。
とすると、インカムゲインを狙うには非常にいい銘柄なのかもしれません。
減配はしましたが。
結論
たばこ産業という特殊な事業なので、なかなか一般的な物差しで見るのが難しいです。
内訳をみる限り、成長性は期待薄いです。
が、たばこ事業自体が利益率が高く、世界で10%のシェアを持っているというのは大きなアドバンテージです。
拡大は期待できないものの、今の収入を今後10年くらい?維持することはさほど難度が高くないように見えます。
理屈で見ると、ポートフォリオの一角に入れたいところではあります。
が、やはり「たばこ」という、明確に肺がんとの関連性があり、かつ常習性のある商品に投資をすることが、果たして良いのだろうか?という個人的な思いがあります。
魅力的だけど、やめとこかな。長い目で見て。
皆さんはどう判断されるでしょうかね。
ではまた。
余談:面白かった本あれこれ
ジャンルはマチマチですが、いろんな本を手当たり次第読んでみると、それぞれ面白いし学びがあります。
いや、別に学ぶために読んでるわけではないです。
単なる興味本位です。
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