20年9月に、NVIDIAは半導体設計大手のARM買収でソフトバンクと合意に至っています。
AIの成長株が半導体設計の王者を傘下に収めるというので、こりゃNVIDIA無敵になっちゃうのかなと思ってました。
当事者間で合意してればOKってわけじゃないんですね
小さい会社ならどうこう言われることはありませんが、これだけの巨大企業になると、「各国」の承認が必要になります。
さっそく英国の「競争市場庁」(すごい名前の役所があるんですね)から「合併は競争上の深刻な懸念がある」と言われてしまいました。
イギリスだけじゃなく、この先米国、EU、中国などの各国の競争を管理する組織からの了解を取らないと、この合併は成立しないんだとか。
結構厳しいんですね。
このニュースにも、株価は思ったほど反応してません。
そもそも合併合意が報道された20年9月もあまり反応してませんね。
なんでだろう。。。
勝手に推測してみました
仮説を立てたら検証しないといけないんですが、そこは実績を見ながら答え合わせということにして、現時点での可能性を考えてみたいと思います。
ARMが手に入るのは素晴らしい!でも高すぎるからプラスにもマイナスにも反応できない!
そんな感じなんじゃないでしょうか。
ソフトバンクがARMを買収したときは3.4兆円でした。
今回のNVIDIAによる買収額は4.2兆円です。
モテモテのARMですが、実は売上1,800億円くらいの企業です。
さらにソフトバンクが買収した2016年以降、さほど売上は伸びてません。
ホントに4.2兆円の価値があるのか??という疑念が湧いてもおかしくありません。
ちなみにソフトバンクは大儲け、というわけでもない
3.4兆円で買った会社を5年で4.2兆円で売却するわけですから、孫さん面目躍如と思いきや、そうでもなさそう。
アーンアウト(実績等一定の条件が成立した場合に支払う)の条項等がついているので、実質は3.5兆円程度になります。
5年間、S&P500に投資してたら毎年7%程度の成長は得られたでしょうから、これは投資としてはむしろ失敗だったのかも。
今回の売却で2兆円程度のNVIDIA株式を手に入れるので、ここ次第で「大成功」に化ける可能性を残しています。
ARMに色がつくデメリット
ARMはライセンスの会社です。設計のライセンスをあらゆる企業に販売することで収益を上げています。
販売先はNVIDIAやクアルコムやIntelといった半導体メーカーです。
ARMがNVIDIA色になった場合、競合する企業は果たして今まで通りARMのライセンスをつかうんでしょうか。。。
逆に、NVIDIAは今まで通りライセンスを供給するんでしょうか。。。
公平性に疑念がわくと、今までのような事業が成り立たなくなる可能性があります。
だから。。。
半導体設計の王様であるARMを買収できなくなるなんて、パッと見ではネガティブなニュースにしか見えません。
でも、実は売上2,000億円の企業を4兆円で買うという大盤振る舞いの投資であり、さらにはその販売先を縮小させてしまう可能性も含んでいるということを考えると、実は歓迎してる投資家も結構いるのではないかと。
20年のARM吸収のニュースがさほど株価インパクトを与えなかったのも、この辺が影響していたんじゃないかと思いました。
値下がりするなら買いたいですけどね(笑
皆さんも投資される際には、ご自身でよく検討の上ご判断ください。
ではまた。
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