銘柄選定をするにあたり、連続増配銘柄を選ぶということにはメリットとデメリットがあります。
メリットは、連続増配が出せるということは「それなりの企業」ということです。
ちゃんと利益が出せて、それを還元する姿勢を持った企業であるといえます。
デメリットは「成長性が低い」ケースがおおいことです。
安定した収益源をベースにイノベーションを起こせる会社ならいいんですが、その場合配当への分配を減らして投資額を増やさないといけません。
連続増配が株価の支えになっている場合が多いので、方針転換は株価の暴落を意味します。
とりあえず「安定性」という観点で連続増配銘柄である「配当貴族」をサーっと眺めていくと、全然なじみのない企業名が上位にいます。
「アムコア」
なんだ??この会社は。
ひょっとして面白いのかも。。
どんな会社?
オーストラリアに拠点を置く、包装事業の多国籍企業です。
食品・飲料・たばこ・医療などに包装材を提供しています。
本社所在地はスイスのチューリヒとなっていますが、もともとオーストラリアの企業で本社機能はメルボルンにあります。
事業セグメントの分け方が面白いです。
「フレキシブルセグメント」と「硬質プラスチックセグメント」に分かれるんだそうです。
フレキシブルは食品や飲料のパッケージやフィルムパッケージを製造します。
一方「硬質」はプラスチックキャップや容器といった、文字通り固いプラスチックを製造するセグメントになります。
いろんな業界がありますね、ほんとに。
株価はどうなっているでしょうか?
10年前に8ドル程度だった株価は17年にかけて着々と右肩上がりに成長して12ドル近辺まで上がってます。
しかし、20年1Qのコロナ影響で一気に10年前の8ドル水準以下まで低下してます。
もっとも半年後には直前の11ドル水準を回復しているので、きわめて一時的な影響だったのですが、その下げ幅は大きかったです。
意外と景気動向の影響を受けやすいのかもしれません。
コロナ影響から立ち直ってからは右肩上がりで成長してます。
直近では17年に付けた最高値近辺まで上がってきてます。
業績推移はどうでしょうか?
20年度1Qの株価は暴落してますが、年度の売上を見ると大幅に成長してます。
直近ずっと100億ドル手前で推移していた売上が、20年度に一気に25%増加してます。
営業利益も10億ドルと、前期より2割ほど伸ばしてます。
営業利益率は8%なので、製造業としては平均的といったところでしょうか。
配当はどうなんでしょう?
あれ??減配してる???
36年の連続増配の配当貴族だったはずですが、、、アレ??何か間違ってる??
スピンオフとか株式分割とか、なんか特別なことがあったんでしょうか・・・
ちょっと見当たりませんでした。
増配やめちゃったのかな。だとしたら株価がもっと下がってるはずだし。。。
多分、会計的な「何か」があったんでしょう。
配当性向は非常に高いです。利益超えちゃってます。
キャッシュフローは大丈夫でしょうか??
フリーキャッシュフローは右肩上がりに増加しているので、大丈夫そうです。
シミュレーションしてみました
コロナ前の19年6月に1万ドル購入して、2年後の21年6月に売却したらどうなっていたんでしょうか??
2年で約900ドルのプラスとなってます。
配当利回りが4%なので、増分の大半はインカムゲインということになります。
コロナショックのタイミングで損切りしていたら大けがしてますが、今は株価も戻しているので、インカムゲインがそのまま利益として出ています。
結論
あくまで参考ですが、PEGレシオで見ると、直近の20年は1.0なので今の株価は「適正価格帯」ということになります。
ただ、これは19年の利益が前年比マイナスだったため、逆に20年度の成長率が大きく見えている側面があります。
もし18年並みの成長率だったら、3を超えて「割高」という判断になります。
指数でみるのって難しいですね。
「配当貴族」のくせに情報が驚くほど少ない企業でした。
そこが狙い目かと思ったんですが、ちょっと見送りかなと思います。
配当性向が非常に高く余力が少ない点、株価自体が景気で大きく影響されそうな点、そして情報が少なくて、なんだかよくわからんという点がマイナスでした。
皆さんも投資される際には、ご自身でよく検討の上ご判断ください。
ではまた。
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