かねてよりのDXの拡大に加えて、コロナでリモートワークが拡大したこともあり、世界的に半導体が不足しているそうです。
モバイル通信に必要な技術・半導体の分野において独占的な地位を占めているのがクアルコムです。
これからますます拡大していくであろうモバイル通信分野で存在感を示す同社は、投資対象として面白いかなと思います。
どんな会社?
米国カリフォルニア州サンディエゴにあるモバイルの通信技術及び半導体の設計開発を行う企業です。
CDMA方式の携帯電話でビジネスの基盤を確立しました。
スマホに搭載されているチップセット「SnapDragon」はAndroidスマートフォンで大きなシェアをとってます。
ちなみに21年はMedhiaTek(31%・台湾)がクアルコム(29%・米)を抜いたんだそうです。
サムスンやアップルをも凌駕するシェアって、すごいですね。
特徴は「設計」の会社であること。工場は持たない「ファブレスメーカー」です。
少し前のニュースですが、アップルとロイヤリティの支払いで訴訟になってましたが、「アップルが支払う」ことで和解しました。
この和解金が5,000億円程度になる見込みで、もともと訴訟を嫌気して抑え気味だった株価が、この和解で重石が取れ、一気に上昇しました。
まだまだ世界中でスマホの利用者は増えていきますし、スマホ自体も4G→5G→6Gと進化していくので、マーケット自体が今後も継続して拡大していくことが想定されます。
業績推移はどうでしょうか?
売上は2兆円規模です。もっと右肩上がりの成長を想像してたんですが、意外と横ばいです。
19年の減収は4Gスマホ需要がひと段落したことが影響したようです。
20年以降はコロナと5Gの商用展開の浸透によって回復してきています。
利益率は乱高下してます。17-18年の利益減は主に訴訟関連によるところが大きいようです。
最大の紛争はアップルとのライセンス問題。
過大なライセンス料だとしてアップルがクアルコムを提訴しました。クアルコムもライセンス未払いとしてアップルを提訴して泥沼化したのが2017年です。
このいざこざもあり、アップルは5Gチップをインテルから調達する方針にしたんですが、インテルが5Gチップの開発に失敗。。
天下のアップルもクアルコムに頼らざるを得なくなり、2019年、ほぼアップルが負ける形で決着しました。
フリーキャッシュフローも歪な動きをしてます。訴訟を抱えて投資ができなかったんでしょうね。
配当はどうなんでしょう?
配当は右肩上がりに上がっていますが、配当利回りは19年以降低下しています。
これは株価の上昇による影響が大きいです。
配当性向はどうなっているでしょうか?
なかなかの乱高下です。2018年は純利益が赤字の中で配当を出してます。
17年・18年は訴訟関連で異常値となってますが、それ以外の年で見ると5割~6割を配当に充てている状況です。
技術はどんどん進歩するので継続的に開発投資が必要です。
配当とのバランスは良いのではないでしょうか。
肝心の株価は???
17年~18年は訴訟を抱えて低迷しましたが、19年の1月に和解が決定して一気に株価があがりました。
しかし、20年度の上昇はそれがかすむほどの急角度で株価が上昇してます。
19年の80ドル程度から20年末には160ドル程度まで一気に上げました。1年で2倍ですね。
シミュレーションしてみました
コロナ前の2019年6月に1万ドル分購入して、2年後の2021年6月に売却したらどうなっていたんでしょうか?
20年に急上昇しているので、1万ドルの投資が2年で1.8万ドルになって戻ってくる感じです。
年率で41%超の利回り!
アップルとの和解を機に購入していれば、この果実を得ることができたでしょう。
が、20年度の半導体不足というこの異常事態は、予想するのは難しかったですね。
この利回りは運の要素が強いかな。
結論
足元の勢いはあります。半導体需要が減ることは考えにくく、供給能力の向上に合わせて売上も伸びていきそうです。
モバイル通信関連の特許が力の源泉です。
アップルと真っ向から戦う姿勢からも、ライセンスをなによりも大切にしていることか窺い知れます。
しかも勝っちゃってるし。。すごい。
ただ、怖いのは技術革新で既存特許が一気に陳腐化する恐れがあること。
差し当たって、通信の将来は現状の延長上にあるように見えますが、どこかで革新的な技術が開発されると、置き換わるスピードも早いでしょう。
たとえばインテルの凋落なんて、10年前には想像もつかなかったですから。
いや、5年前でさえまだ勢いがありました。
最近の株価急騰で配当利回りも1%台になり、ちょっと様子見かなという感じです。僕の感覚では。
皆さんも投資される際には、ご自身でよく検討の上ご判断ください。
ではまた。
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