昨今騒がれている半導体不足、その昔「鉄は国家なり」といったのはドイツのビスマルクでしたが、今や「半導体は国家なり」といった状況になってます。
トヨタは21年度1Qで最高益を更新しながら、半導体不足で生産を抑制せざるを得なくなってます。
アップルもiPhone製造の遅れを懸念しており、今期の業績を低く見込んでいます。
ありとあらゆる製品が「半導体不足により」という呪文で動きを止められている現状があります。
半導体というのは、我々の想像を遥かに超えて生活に浸透しているということが証明されました。
供給不足が国家の一大事とあらば、その供給は国家として確保する必要があるということで、各国政府が強力にバックアップを始めています。
半導体大手ってどこ?
インテル・サムスンが上位なんですが、こと「製造」に絞ってみると、TSMCが圧倒的1位になります。
TSMCのような「製造」に特化した会社を「ピュアプレイ・ファウンドリー」というのだそうで。
インテルやサムスンのように設計から製造まで手掛けるメーカーは「統合デバイスメーカー」と言うそうです。
TSMCはアップルやNVIDIAのような「ファブレスメーカー」から製造を請け負うことで「製造だけ」で3位の売上を作り上げてます。
製造技術においては、インテルが10ナノの製造ラインに対して、TSMCは3ナノを実現しようとしています。
単純に、同じ基盤に3倍以上の密度で回路を作ることができるわけです。
恐るべき技術格差ですね。。。
国家が動き出した
そもそもなぜ半導体が不足し始めたのか?
・コロナ禍によるリモートアクセスでPC需要が急増
・在宅時間が長くなり、ゲーム機販売が増加
・電気自動車、AI、IoTの発展に伴う新たな需要の出現
AIや自動運転、5Gは今後もますます裾野を広げていきます。
半導体に対する需要が加速度的に伸びていくことが想定されますが、製造は一部の地域に偏っています。
これは国家の危機だと言うことで、米国バイデン政権は開発支援に5.5兆円を投じるとしています。
更にはTSMCの供給が不公平なんじゃないか?ということで供給内訳を出せ!と迫ったりもしています。(拒否されたようですが)
日本も菅政権で半導体確保の方針を打ち出しています。
交渉の甲斐あってか、TSMCとの合弁工場を熊本に作ることが概ね決まった模様。
政府にソニーやデンソーが加わって、総額8,000億程度を出資して日本国内での半導体製造を実現します。
お、これは期待できるのかな。
そんな単純な話でもないようで。
先のアメリカの5.5兆円、TSMCを念頭に組まれていたようですが、「そもそも米国の税金を使って台湾の企業を補助するというのはどうなの?」という批判が巻き起こっているそうです。
企業誘致なんてよくある話だとは思うんですが、額がでかすぎるんでしょうね。
同じ話が日本でも起こると想定されます。ソニーやデンソーの出資でどの程度「日本の国益」を示せるか、また合弁を嫌うTSMCがどこまで出資を飲むかがポイントになりそうです。
もう一つ気になったのは、日本で製造する半導体、20ナノだそうで。。。
台湾の本家では3ナノです。新工場なのに「20ナノ」って。。。6世代も前の水準らしいです。
それって、ほんとに国益になるのかな。
よくわかりませんが、「半導体がないからチャンスを逃す」みたいなことがないといいなと思います。
コロナ収束がぼんやり見えてきて、企業が復活の狼煙をあげようという、今はまさにその時なので。
ではまた。
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